これからの発達支援を考える
2021年09月22日
今年の6月14日に厚生労働省で「障害児通所支援の在り方に関する検討会」が始まった。いつものように行政・学識・現場関係者14名からなる、月2回ペースで都合10回ほどの、しかもCOVID-19下でもあることからWEBでの検討会である。私も一般社団法人 全国児童発達支援協議会の会長としてその中の一人として参加している。
こうした気になる子どもにフォカスした検討会は、2008年の「障害児支援の見直しに関する検討会」が初めてであり、2回目が2014年の「障害児通所支援の在り方に関する検討会」に続いた。
因みに、それまではこうした場で純粋に「子ども」に限局して議論されたことはなく、概ね大人の話しの余談か、補足のように扱われたり、大人の制度を薄めたり、引き延ばしたり、端折って転用されているようなものであった。そうした時に今日の「子どもの権利条約」の精神そのものである「子どもは小さな大人ではない」という長年にわたる我々の強い主張が受け入られて2008年に第1回目の検討会が立ち上がったのである。もっと裏話をするならば、この1,2回目はのちに厚生労働省事務次官に就任する蒲原氏が社会援護局障害保健福祉部の課長、部長の時期であった。その成果は明らかなように、それ以降の障害児支援の施策を大きく前進させたことは関係者ならば誰もが知っていることである。
例えば、①身近な行政が実施主体となっての地域での暮らし、②豊かな支援サービスの選択肢、③家族支援を含めた親の気持ちに寄り添う、④重層的で連続性のある早期からの支援、⑤本人主体の自立的な暮らし、⑥気になる段階からの早期からの支援などをテーマに議論された。
特に第2回の検討会では子どもと家族を中心にした身近な地域でのインクルーシブな暮らしを相談支援事業所や相談支援専門員のサポートを受けながら、地域の様々な後方支援機関のネットワーキングの下、保育所等相談支援事業などを利用しながら営む事を目指している。
しかし、新しいインクルーシブな社会構築のための施策としての例えば「障害児相談支援事業」、「保育所等訪問支援事業」、「放課後等デイサービス」を中心とした全国各地の取り組みは、残念ながら全国どこでも、効果的で、使いやすく、安心できる子育ち、子育て支援策となるには未だ道半ばである。その因は財源が、人材がなどとハード、ソフト面での不足感が否めないのは確かである。しかし、このコロナ下で、それを嘆いていても何も解決しないし、前進もしない。
今回の検討会では、これらの未熟段階にある制度のさらなる成長充実と有効化を図ることはもちろんであるが、私が最も重要視している点は、長年にわたって厚生労働省、文部科学省、内閣府など各省庁での思惑で非連続に散在する子ども数多の施策を、インクルーシブに、効果的に機能させるためのマネージメント力が地域でほぼ欠落している事である。そのためには取り敢えず、障害保健福祉圏域か、老人保健福祉圏域か、母子保健福祉圏域か、学校区圏域かなどのエリアメイキングはともかく、長年地域にあって、事業実績と関係機関との協力連携とか人間関係、さらには人材とかOJT的な養成機能なども相対的に多く有している児童発達支援センターがその任を権利と責任の下に果たすのが効果的であると強く主張しているところである。
関係者としては今まで以上に、襟を正して、愚直に研鑽に努め、関係者からの一層の信頼と評価を得んとするPassion(献身)が求められていることを自覚する必要があるだろう。
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