幽霊の正体見たり枯れ尾花
2020年09月24日
この句は、私はかの有名な江戸期の俳人松尾芭蕉の作とずーと思っていたが、この度あらためてこの句についてあれこれ調べると、どうもこの句は横井也有の俳文集「鶉衣」にある句だということのようだ。自分的には旅の俳人と言われる松尾芭蕉の作と受け止めた方が自分的には素直に腑に落ちる。彼は旅から旅に明け暮れたためか、全国各地のお国ぶりを探る公儀の隠密ではないかとまで言われている。
この句の背景として、そんな彼が旅の途中で予定が狂いすっかり日も暮れて、晩秋の冷たい川風を受けながら心身ともに疲れた身体を幽かな宿の明かりを求めて闇夜を急いでいる情景が目に浮かぶからである。
いずれにしても彼のように旅の達人であっても、冷静に受け止めれば唯の「枯れ尾花(ススキの穂)」を一瞬であったとしてもお化け、幽霊と勘違いして慌てふためき、腰を抜かし、額に冷や汗をかいているというそんな自分に呆れ、にんまりと自嘲している芭蕉が目に浮かぶのだが。
時は今、コロナ騒ぎ、集団ヒステリー、集団うつ、ヤケッパチ時代と言われるわが国の社会状況に似せて考えられなくもない。例えば、この足立区でも9/9-9/15の一週間での感染者が50人。足立区の人口は約70万人である。と言うことはこの間の平均感染者は一日に7人、10万人当たり1人である。まもなく流行が始まるであろうインフルエンザは11月から5月位に集中するということはあるとしても、多いときは1週間にこの足立区でも1000人を超える。コロナの22倍である。
どちらがと言う比較はともかくとして、いずれの感染症にしても「正しく、冷静に受け止め、理解し、対応する」ことが肝要であり、「枯れ尾花」に怯え慄いてパニックに陥ったり、逃げまどって自分の生きざまを中途半端な、後悔だらけの物にしていては悔いても悔い切れないだろう。しなやかに、したたかに己の確かなMISSIONをぶれる事なく邁進することが求められているのではないだろうか。
Stay Hungry, Stay Foolish! (by STEVE JOBS)
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